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幼児教育無償化で保育園の給食費が実費徴収に

【日本保育協会「保育界」2018年12月号掲載記事を編集】

 

■1号・2号の公平性の議論
 幼児教育の無償化について、当初、表に現れていなかったさまざまな課題が明らかになってきました。
 保育所等の給食にも大きな揺さぶりがかかっています。3歳以上児の保育料を無償化するにあたり、給食費が保育料に含まれておらず、無償化後も保護者負担になる1号認定と、副食費が保育料に含まれ無償化されることになる2号認定の間の不公平が問題になったのです。(2号認定=保育の必要性を認定される3歳以上児、1号認定=その他の3歳以上児)

 国の子ども・子育て会議では保育団体の反対がありますが、政府は、3歳以上の食事提供の実費はすべて無償化の対象外とする方針を固めていると報道されています。
 確かに、認定こども園における1号・2号の間の不公平はなんとかしなければなりません。1号も2号ともに給食費を完全無償化するのが理想的ですが、するとさらなる財源が必要になります。幼稚園の中には、家庭からの弁当持参を大切にしている園もあります。しかし、不公平だからよいものを削ることで公平化する、というような進め方が本当によいのかどうか、今一度考えていただきたいと思っています。

■包括的支援機能の一部としての給食
 子ども・子育て会議では、保育団体から「乳幼児の食は教育・保育の一環として無償化の対象に含むべき」「福祉的観点から公定価格に含むべき」などの反論もありました。
 保育所は、子どもの「生活の場」として発展してきました。「生活の場」には第一に養護の機能が求められますが、生活を素材とした豊かな教育を行うという機能も有しています。「食育」もその一環です。給食提供の教育的意義を認め保育料に含めるべきとのご意見には、私も賛成です。
 また、児童福祉施設としての包括的支援機能を保持するという観点からは、さらに大きな問題があると思います。
 子どもの食事は、子どもの福祉の非常に重要な要素です。現在広がっている「こども食堂」にも、その認識があります。学校給食での給食費未納問題では、子どもの最善の利益と保護者の責任論の間で、非常に悩ましい問題が起こっています。子どもに食事という現物支給をする給食のしくみは子どもの貧困対策として有効であるとして、学校給食について無償化を求める意見もあります。今回の、3歳以上保育料の一律無償化よりも、保育園・幼稚園・義務教育学校を通じた給食の無償化のほうが、政策的効果は高かったかもしれません。
 保育所等では給食費が公定価格に含まれていることで、施設も安心して子どもの食を支えることができていました。政府案は、低所得者等への配慮をするとしていますが、「見えない貧困問題」に本当に対応できるのか、そのときの施設の苦悩は大きなものになるのではないかと懸念します。保育所と幼保連携型認定こども園は、教育施設であるとともに児童福祉施設であるということを軽んじてはならないと思います。

■さらなる応益負担への懸念
 施設では、実費徴収事務への不安もかかえるでしょう。低所得者の免除、欠席日の扱いなど煩雑になることが予想されます。後者は学校でも苦慮しており、自治体は、食材注文の事情、人件費や管理運営費などは公費で負担していることを、保護者に説明をして協力を要請しています。
 今回、無償化の対象外とするのは食材費のみで、人件費や管理運営費は公定価格に含めるということですが、そこは絶対に崩してはならないし、さらに、アレルギー対応費、食育に関わる料金、「おかわり」代などの別途徴収に広がらないようなルールを明確にすることも必要だと思います。
 

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保育所の人件費に厳しい視線

【日本保育協会「保育界」3月号掲載記事】

 

■「世界」2月号・3月号に衝撃記事
 月刊誌「世界」2月号・3月号に、「職業としての保育園」という特集が掲載されているのはご存じでしょうか。東京23区内の保育所の人件費比率について取り上げられており、2月号の(上)では社会福祉法人立、3月号(下)では企業立を中心に分析がされています。書き手は、主に女性の労働問題を中心に多くの著作があるルポライターの小林美希さんです。
 保育士の待遇問題が社会問題となり、保護者としても、一刻も早く十分な待遇改善がされ、意欲と資質を備えた人材が保育に安定的に従事してくれるようになることを切望しています。
 国や都は次々に待遇改善策を打ち出していますが、記事で取材されている保育士たちからは、まだまだ厳しい現状が語られていました。
 記事では、東京23区でキャリアアップ補助金を受けた保育所733施設の財務諸表から算出した人件費比率を、低い順から並べたワーストランキングも掲載されており、なかなかショッキングな内容になっています。

■お金が保育士に届かない?
 この分析で特徴的なのは、全体人件費率比率のほかに、保育士、子育て支援員、保育補助、調理員、看護師、准看護師、栄養士(いずれも非常勤も含む)の人件費だけで算出する保育者人件費比率が明らかにされていることです。この保育者人件費比率が4割を切っている施設は、社会福祉法人立では477施設中39施設(8.2%)、株式会社立では256施設中107施設(41.8%)ありました。
 ワーストランキングに掲載された各施設の保育者人件費比率の最低値を見ると、社会福祉法人立で24.5%、株式会社立で17.3%となっています。また、これらの施設について、施設長や事務職員も含めた全体人件費比率を見ると、社会福祉法人立では、42.0%〜73.7%、株式会社立では、28.8%〜59.9%でバラついており、全体人件費比率と保育者人件費比率の間には、相関は見られませんでした。つまり、全体人件費率が高くても、保育者人件費率が高いとは限らないということです。施設長等の給与が相対的に高い場合には、これらの比率の差は大きくなります。
 小林さん自身も書いていますが、情報開示された財務諸表には明らかな記載の誤りがあるものもあり、また、法人に取材した結果、保育士の実際の給与は非常に高いにもかかわらず、新規開設に伴う種々の自治体の補填により、一時的に人件費比率が低く見えたことがわかったケースもあったそうです。
 このランキングを絶対視はできませんが、保護者の目からは驚きの実態であることには変わりません。厚生労働省は、人件費比率を7割程度と見込んでおり、処遇改善により、保育士の理論上の給与は年収380万円程度になると見込んでいるそうですが、このままでは見込みどおりにはならないかもしれません。

■待機児童対策との関係
 では、保育者の人件費に回らなかったお金はどこに行っているのでしょう。「事業者のもうけ」になっていたり、他の赤字事業の補填に回されていたりすることもありそうです。しかし、ワーストランキングを見ると、旺盛に事業拡大を行っている事業者が多く、保育事業に再投入されている部分も大きいのではないかと思われます。
 保育者の資質は、子どもが受ける保育の質を最大に左右するものです。保護者から言わせてもらえば、保育者にしわ寄せをしない(=子どもにしわ寄せをしない)待機児童対策であってほしいわけで、なんとかしなければならないと思います。事業者の種別を問わず、施設会計を開示することにして、資金の流出などの保育に還元されない使途は制限するようにできないものでしょうか。

 

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待機児童対策、自治体の頑張り度は…?「100都市保育力充実度チェック」2017

 

【日本保育協会「保育界」11月号掲載記事】

 

保育園を考える親の会が、首都圏主要都市と政令市の100市区を対象に実施する調査「100都市保育力充実度チェック」の2017年度版を、10月13日に発表しました。トピックスを拾うと…。

 

入園決定率が若干改善
2017年4月1日現在の待機児童数は、2,528人増加したことが9月1日、厚生労働省から発表されましたが、保育園を考える親の会が独自に調査している入園決定率は、有効回答した79市区の平均で74.2%と、昨年度よりも1.4ポイント改善していることがわかりました。入園決定率とは、新規に認可施設・事業への入園を申し込んだ子どものうち、何パーセントが入園できたかという数値です。待機児童数では入園の難易度はわからないため、保育園を考える親の会が2009年度から独自に調査しています。

 

定員拡大して改善した自治体、しない自治体
2011年度からの各自治体の定員拡大率も調べて、入園決定率との関係を調べてみると、下図のとおりになりました(2011年度は保育所のみの定員、2017年度は認可全体の合計定員)。この図で、右下にきているのは、待機児童対策を頑張っているのにニーズ増に追いついていない自治体です。右上は、待機児童対策を頑張って入園事情が改善している自治体。左下は、入園事情がよくないのに定員拡大が鈍い自治体です。

 

園庭保有率はさらに低下
保育園を考える親の会では2015年度から保育所の園庭保有率を調べていますが、2017年度は76.1%(有効回答97市区の平均)で昨年度より2ポイント低下していることがわかりました。今後も低下が続くことが予測されます。

 

親の会サイトがリニューアル
この発表に合わせて保育園を考える親の会のサイトがリニューアルしました。また、このサイトで、「100都市保育力充実度チェック」の頒布もしています。自治体ごとの詳細なデータを調査していますので、ぜひお取り寄せください。
http://hoikuoyanokai.com

 

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